徘徊

私は元々出不精だったが、最近は外出することに楽しみを見出した。



その一つが徘徊。



一日ほとんど会話をしなかったり、何も楽しいことがなかったりすると、おなしくなる!と思い、そう一度思うと外に出たくて堪らなくなるのだ。


そう思い始めると、出掛けずに家に留まることに決めた場合の寂しさに押し潰される数時間後の自分が見え始めてしまい、意味もなく出掛けてしまう。



先日、自宅で夕食を済ませた後行き先も決めず歩き始めた。



とりあえず東に歩き、途中で行き先を決め、とにかく歩き続けた。



結局その日は3時間ほど歩いた。



夜の散歩の甲斐あってか、その日は気分落とすことなく済んだ。



翌日、疲れたのかなかなか布団から出られなかった。



予定がなかったため急いで布団から出る必要もなく、寝転んだままいた。



するとそこで急に気づいてしまった。



私がしたいことは、一人でふらふらと徘徊することではない。



寂しさから逃れるため、考え事をせずに済む外に逃げているだけ。




確かに外をぶらつきたいが、それは仲のいい人との街ブラや、夜に酒なんか飲みながらする近所の散歩であって、一人など望んでいない。




すると見えてきてしまう。




昨晩恵比寿駅周辺で仕事終わりにでも飲んだのであろう人々。

楽しそうにしていた人々。




本当はこんな時間を共にしたかった人のこと。

その人が過ごした楽しい昨晩(想像でしかないのだが)。




一方、人通りが少なく、心細くなりながらも一人自宅を目指し歩く私。







結局はこれだ。

いつまでこうだ。



私はまだ、大切な人の忘れ方を知らない。



孤独との向き合い方を知らない。



大切な人がいなくても、というかそんな人が一度もおらず寂しさと共に過ごしてきたにも関わらず、寂しい時の対処法が未だにわからない。



結局対症療法しかわからない。