「元彼死ね」は恨みではなく悲しみに満ちた呪文

 

3年半付き合った彼氏と別れることになった。

 

半年一緒に暮らした。

 

一緒に暮らして楽しかったのは私だけだったようだ。

 

別れ話が長引き、最後にはお互いの不満点を言い合う最悪な形になってしまった。

 

私は不満があっても好きな部分の方が大きいから不満を見過ごしてこれたが、彼はそうではなくなったのだろう。

 

長引かせたことで言うつもりのなかったことを言わせたし、言ってしまった。

 

 

 

 

不穏な私は2月中旬、彼のサブ携帯を見てしまった。

 

2月9日に撮影されたハメ撮りを見つけてしまった。

 

まだその時、揉めている最中で、別れたつもりはなかったんだけどな。

 

どっちにしろ、そんなにすぐセックスする相手いるんだ、いや初回でハメ撮りするか?なんて。

 

私は別れたら男なんていないのに、鬱々としているのにお前は気晴らしセックスか?

 

私もパーっとセックスしてぇーと思ってセックスのことを考えてみても、「駄目だよ」と言いながらノリノリで彼氏の上で腰を振っている女の映像がフラッシュバックしてしまうし、ここ数年セックス相手は彼氏しかいなかったせいか、真剣に腰を振る彼氏の顔や、射精直前に私の名前を呼ぶ声ばかりが思い出されてしまって新規セックスはおろかオナニーどころじゃないのだ。

 

ハメ撮りを見たせいで胃が痛くなるし、別れの理由もわからなくなる。

 

あらゆる感情を巡らせてしまうが、それは私の好きな、私のことを好きでいてくれる彼氏はいないのに、今は元彼氏となった彼という人間自体は存在するからだ。

 

私の前からいなくなるなら、死んでしまえばいいのに。

 

死んでしまったなら、仕方ないじゃない。

 

新しい女と楽しくやっていることを想像してしまったり、この期に及んでいずれ私のところに戻ってきてくれればいいのにと思ってしまったりするのは、彼が存在するからだ。

 

死んでしまえば、喧嘩別れしたこともそんなこともあったな、などとしみじみして良い思い出にできるのに。

 

数ヶ月前まで、ふと不摂生な彼が急死してしまったらどうしようなどと想像して涙を流すなんてことをしていたのにね、笑う。

 

 

 

冗談だよ、笑ってくれ。